モーツァルト・ソナタの醍醐味
ラビノヴィチ(アレクサンドル) アルゲリッチ(マルタ)

モーツァルト:2台と四手のためのピアノ作品集
「のだめ」ですっかり有名になったこの曲。
1990年代初頭、世界的権威の科学雑誌「ネイチャー」でラウシャー博士が、この曲を聞くとIQが10上がると発表したのをきっかけに、モーツアルトを聞くと頭がよくなるとかいう昨今のブームの発火点になったという小咄もある。
エッシェンバッハの端正、ラローチャ・プレヴィンの軽妙洒脱、アシュケナージの情感・・・それぞれ、楽しめるが、モーツアルトが弟子と弾くために、ソナタの醍醐味を十分に発露しつくしたこの曲の性格を一番表現している点でいえばこの盤だろう。最初は、マルタさんのクセのあるパッセージが気になるかもしれないが、聞き込んでいるうちに、この即興性あるスリリングなやり取りのほうが「モーツアルト」と思えてくるから不思議だ。
じゃじゃ馬マルタさん、ラヴィノヴィッチさんと相当ウマがあうらしく、彼女が水を得た魚のように生き生きしている。つっこみの強い彼女のパッセージをラヴィさんも相当熱っぽく応えるが、造形を崩さないところはさすが。
最近、すっかり室内楽での仕事が多くなった彼女ですが、音の艶やかさや音間に秘められる表現の含蓄は並大抵ではなく、これはその代表盤の一つと言えるかもしれない。

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